襲来

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『いいねぇ~その恐怖。その怒り。その混乱。ここは負で満ちている……くっくっく……もらうぞ、その全て』 笑いながら現れたのは化け物。昔みていた特撮ヒーローの敵役の怪人をもっとグロテスクに、もっとえげつなくした感じ。 全体は人型なんだが、身長が二メートル以上はある。 体全体が毒々しい紫色でプロレスラーのような筋肉。腕なんかは語のふとももくらいある。 顔はスズメバチにそっくり。異常にでかい黒い複眼がギラギラしている。 右の肘のちょっと先からは普通の手の形をしておらず、ラグビーボールのお化けみたいな形状で、先端にはぶっとい針がついている。 その針は野球のバットと同じくらい太く、そしてものすごくとがっている。まるで蜂のお尻だけが右腕と合体しているみたいだ。 なんなんだこいつら。悪い冗談か? 夢なら早くさめろよ…… とにかくあいつはヤバい。考えなくてもわかる。最初の黒い奴らとはレベルが違う。 頭の中で警鐘が鳴る。 嫌な汗が背中を伝う。 黒ミイラ達だって一撃で人を殺すような怪物だっていうのに。 汗が一滴額からこぼれたのと同時に、扉を開けた男子から鮮やかな赤い液体が噴出した。 それを血だと認識すると同時に、脚が、腕が、体全体が震え始めた。 なんなんだよ、これ!?
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