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怖い。悲しい。痛い。まだ死にたくない。こいつのいっていることは全部正しい。
でも、言いなりにもなりたくない。
何もかも理不尽だ、という思いがまだ燻ぶっていた。
それに目開けたって外の景色なんか目が霞んでよく見えないっての。
何とかして蜂野郎をあざける言葉を吐きたいが、唇が動くだけで声が出ない。
だめだ、死……
「真道君を……放して……」
音が、戻った。
震える女の子の声。
見なくたって誰かわかる。
三年間も想い続けてきたのだから。
『なんだぁ? ここの人間はずいぶん活きが良いのが揃ってるなぁ!』
俺は声の主に向かって声を振り絞った。
「逃げて……新田さん……」
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