襲来

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ちくしょう。 自分でも情けないくらいの小さな声しか出ない。 それでもちゃんと届いたみたいだ。少なくとも音としては。 「いや……真道君だけはまだ諦めてない……きっと何とかしてくれる……」 たぶん、新田さんはそう思いこむことで今の現実から目を背けている。 唯一抵抗を見せた俺を信じることで眼前に迫る死を拒絶している。 でも。 新田さんが思っているようなすごい事は起きない……。 ダメだ。 逃げてくれ……。 『ん~お前から死ぬか?』 蜂野郎の呟きにぞっとするような殺意を感じた俺は、言葉通り死力を振り絞った。 「かはぁっ!」 吐血しながら右足で蜂野郎の顔面を蹴り飛ばす。 それはひどく弱い蹴りだった。 とたんに傷口から血が吹きだし、激痛に気を失いかけたが、歯を食いしばり血を飲み込む。 普段無気力なんだからこういうときくらいカッコいいとこ見せないと……。
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