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『さて、お前を殺してもいいんだが、二、三訊きたいことがあるからな……おい』
実を放した蜂型の怪物は泣きながら震える玲菜を見下ろすと仲間の黒いミイラに合図した。
すると黒いミイラ達は、まだ意識のある生徒達を教室の中心に追い立ててきた。
半ば引きずられるようにして連れてこられた生徒たちは皆、虚ろな目をして俯いていた。
玲菜はそれを見て、恐怖にさいなまれていた。
みんな生きることを、諦めている。
本能を封じ込める程の圧倒的な暴力に、抗いようのない理不尽に晒されて。
指向ができなくなっているのだ。
……玲菜以外は。
玲菜はどうしようもなく震える自分の手を強く握りこんだ。
感覚は、恐ろしいほどにない。
一方、蜂型の怪物は生徒たちの様子を満足気に眺め、喜びに身を震わせていた。
『人間達よ、俺の名はメザビ。貴様等にちょっとした用事が有ってなぁ。質問をしたいんだよ……』
質問?
まだ唯一頭が動いている玲菜は、恐怖に震えながらも聞いていた。
『訊かれたことには正直に答えろ。俺には誰が嘘をついているのかわかるからなぁ……』
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