襲来

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「な、なんで……? 質問には答えたでしょう? 用は済んだんじゃないんですか?」 玲菜はメザビに向かって言った。 『確かに、質問は終わった。しかしまだ目的は果たしていない……。〈奴〉が目覚めるとしたら宿主の生命が危険にさらされたときだろうからなぁ』 剥き出しの口が残忍に歪む。 『今からお前達を……殺す』 「なにを……」 言っているのか、考えるのを止めた。 何を言っても無駄だ。今はここから逃げなくちゃ。 イヤ。ダメ。 まだ死にたくないよ……。 「ねぇ、舞、早く逃げなきゃ! あいつらに殺されちゃう!」 どうしようもない心細さから、近くの友人を揺さぶった。 しかし反応がない。 「ねえ! みんな、逃げないと!」 クラスメートはみんな教室の床を見つめて動かない。 気絶している者もいる。 「なんで……」 涙があふれてくる。自分一人じゃきっと逃げきれない。 怖い……。 脳裏に窓から落ちていった実の姿がフラッシュバックした。 「いやあ……誰か助けて……」 『無駄さぁ!! ここにいる人間の星力と負はさっきから俺が喰らっている。生きようなんて気力はとっくに失っている……おまえは特別みたいだがな』 わたしが特別? 何のことか……。 「きゃあっ!!」 いつの間にか、黒ミイラ達が目の前まで近づいていた。 完全に囲まれている。 逃げ道は……無い。 「いやぁ……死にたくないよ……」 生き残ろうという意思は崩れた。 気力は完全に枯れ果てた。 玲菜は膝を折ってうずくまった。 怖い……怖い怖い怖い! 誰か助けて……。 『いーや、死ね』 メザビが気軽な調子で言うと、ミイラ達が一気に包囲網を縮めたのが見えた。 玲菜はきつく目を閉じた。お父さん、お母さん……。 涙があふれる。 「ごめんね……」 わたし、もう死んじゃう……。 その時、中庭で紅い光が爆発した。
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