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「ブラキオサウルスだ! そうだな、真道(しんどう)!」
宇宙飛行を楽しんでいた俺は一気に目を覚ました。
目の前には不機嫌な顔をした地学の大木先生。
「新入生の分際で一丁前に五月病か!? まったく、野球部は春の大会終わってから少しゆるんでないか?」
表情通り不機嫌な声で怒られる。
俺はのろのろと起き上がり、心中で毒づいた。
くそっ。春大会で負けたのも野球部も関係ねえだろ。
「すみません」
俺はぼそっと謝り、教科書に書かれた真道実という自分の名前を大木だと思って睨みつけた。
大木先生は根っからのインテリで、運動部を目の敵にしている節がある。
「もう寝るなよまったく……」
「はい」
俺は教科書に目を落とし、恐竜の化石についての説明文が目を滑っていくのを咎めもせずに物思いにふけった。
ああ、いい所だったのになぁ。
最近よく見る夢だった。
宇宙を高速で飛ぶ夢。
まるで流れ星になったかのように。
しかもその感覚が妙にリアルなのだが、今までは地球なんて見えなかった。
少しずつ近づいているのか?
チャイムが鳴り、俺の考え事は中断された。
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