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「お~い実(みのる)、昼飯買いに行こうぜ~」
ちょっと間の抜けた声で俺の名前を呼びながら、太めで大柄な体格の少年が近寄ってきた。
こいつは英河語(ひでかわ かたる)。俺の友達だ。
好きな言葉は、『ジューシー』。
彼の名誉のために言っておくと、ボケではない。
「んあ。わかった」
俺はまだはっきりしない頭をかきむしると、うーんとのびをした。
横目で語の耳あたりにしか届いていない自分の背丈を確認する。
高校一年生にしては語がでかいだけと言えばそれまでだが、クラスでも部活でも俺は背が高い方ではなかった。
特筆するほど小さくもないが、肩で風を切って歩けるほど背が高いわけでもない。
背、伸びないかな……。
ため息一つ、語と一緒に売店へ向かおうと席を立った俺の頭からは夢のことなど消えていた。
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