その執事、鬼畜。

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すっかり御馳走になり和気あいあいな雰囲気の中、東條の一日限りの執事喫茶のバイトは幕を閉じた。帰りは車で来ていた東條に家まで送ってもらうことになり、いつものように俺の指定席である助手席に乗り込む。 「えっと、お疲れ様…だったな」 「いらねぇ気遣ったぜ全く」 素っ気ない口調の割にはハンドルを握る東條の顔は今日のことを満喫しているように見えた。嬉しくなって微笑ましげに視線を送っていると、俺の視線に気付いた東條が話を振ってくる。 「それで…お前はどうだったんだ?俺の燕尾服姿を見てよ」 「いや…良かったよ。に、似合ってた」 「………」 思ったことを素直に言ったつもりなのだが、今日の東條の働きを労うには言葉が足りなかったらしく不満げな瞳が訴えかけてきた。 「もっと他にねぇのかよ、都貴くんが必死になって頼むから引き受けてやったんだぜ。わーざわーざ」 「え…えーっと……た」 「何だよ、聞こえねぇな」 「…ほ…ほ、惚れ直した…!!いや、あ…!!やっぱ今のナシ!!ごめん、何でもない!!」
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