その執事、鬼畜。

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「私の躾が甘かったようですね、もう一度テーブルマナーについて私が手取り足取り教えて差し上げましょうか…?」 鼓膜を震わせるように囁かれる。それと同時に英国風のお屋敷にまるでアイドルのコンサート会場の如く黄色い声が飛び交った。 成る程、これが鬼畜執事の特別サービスってわけか…。 「………」 他の客にもやってるのかな…。 取り分けてくれたサンドイッチをもそもそと食べながら、他の客の所へ行ってしまった東條の背をなんだか面白くない気持ちで見つめていると、さっき席まで案内をしてくれた執事がそっと声をかけてくる。 「楽しまれてますか?」 表情に出てしまっていたのだろうか、どこか心配そうな執事の口ぶりに俺は慌てて取り繕った。 「は、はい…。料理も紅茶も凄くうま…っ、いや美味しくて」 「お坊ちゃまに喜んで頂け、私共これ以上の幸せはございません」 幸福に満ちた笑顔で言うもんだから、俺まで釣られて笑顔になる。すっかり和まされてしまった俺は、空いたカップに紅茶を注いでもらい食事を続けた。スコーンもケーキも一つ一つが凄く美味しい。 「…それにしても今回は高宮のことで色々とご迷惑おかけ致しました」 「いや、俺は別に…東條もまんざらじゃなさそうなんで気にしないで下さい」
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