その執事、鬼畜。

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「寛大な心を持ったご主人様で私共は誇りに思います。それでは、出発のお時間までごゆっくりなさって下さいませ」 「は、はい…」 それから楽しい時間はあっという間に過ぎ、出発時間がやってきた。高宮さんと東條から俺のことを聞いていた執事は、玄関ではなく自分達の休憩室へと俺を通してくれる。 のんびり紅茶を飲みながら待っていると、勤務時間を終えた執事喫茶の従業員達が続々と入ってきた。助っ人である東條の見事なまでの働きぶりに、まるで神を崇めるように東條は従業員のみんなに囲まれている。 「いやぁ、東條くん本当に助かったよ!高宮くんが風邪で来れなくなってどうしようかと思ってたけど、東條くんのおかげで乗り越えることができたよ!」 「それに高宮より使えるときたからな!東條さん、これからもうちで働きませんか?」 「いや、俺なんかじゃ…とても勤まりませんよ。高宮くんの足元にも及びません」 猫かぶりな笑みを浮かべ、控えめに自分を見せることで自らの株を上げる。面倒事を押し付けた高宮さんへ対する当て付けだろうか、抜かりない東條に俺はただただ苦笑するしかなかった。 「楽しかったなー!料理すっげぇ美味かったし、みんないい人だったしさ!」 「俺は疲れただけだけどな」 あの後、協力してくれた俺達へ感謝の意を込めて執事喫茶の皆が絶品の料理を振る舞ってくれた。
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