転校生、西園寺有紀

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チャイムが鳴り終わって担任が入ってきた。 「えー、今日からこのクラスに転校生が来ます。 おーい、入ってこい。」 先生がそう言うと教室の扉がゆっくりと開いた。 転校生が教室に入った。 その瞬間教室がざわついた。 「じゃあ自己紹介よろしく。」 教室が急に静かになった。 みんなが転校生の口から出る言葉を今か今かと待っている。 「はじめまして。西園寺有紀(サイオンジ ユキ)と言います。 これからみんなと仲良くしていきたいと思ってます。よろしくお願いします!」 そう言って有紀は頭を深く下げた。 有紀が顔をあげると大きな拍手が有紀に向けてなっていた。 「えーと、さっきも言ったけどみんな仲良くしてやってくれよ。 おぉあと西園寺の席はだなぁ……杉谷の隣だからな。 杉谷、西園寺が可愛いからって西園寺をいじめるなよ?(笑)」 先生が言い終わると、 有紀は先生に軽く会釈をして 自分の席へと向かった。 勇は先生の冗談も無視して有紀を見ていた。 有紀は勇の視線を感じたのか、勇に話しかけてきた。 「あなたが杉谷勇くん?」「そうだけど。」 「これからよろしくね!」「んっあぁ…」 (元気な子だなぁ…) 勇はとりあえず挨拶を済ませたので 一時間目の時間割りを準備しようとした。 だが出来なかった。 右の裾がつかまれて動かせないのだ。 「お前か…」 勇はあきれていた。 「西園寺さん、まだ何かようですか?」 「まだあります!!」 「めんどくせ。」 「めんどくさいとか言わないで下さい!」 勇はため息をついた。 「そんなに嫌そうにしなくても…いいじゃない…ですか…」 有紀の目は涙目になっていた。 「えっちょっと?なに? 何で泣いてんのさ? てか泣き止めよ?」 (泣き止まなきゃ俺の立場がないぞ… いやそんなことより、こいつには泣いてもらったら困る!!!!) 勇が焦っていると 有紀が口を開いた。
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