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空白の数秒。
沈黙なんてどうでもいいやと思い、私は新たな疑問を先生にぶつけた。
「先生。この擬人法ってなんですか。」
先生は露骨に嫌そうな顔をした後、少し溜め息をついた。
それを見て、私は自分の知識が人より劣っていることを再確認する。
「自分で、考えたほうがいい?」
そう言うと、先生はフッと笑った。
「や、別に。」
妙に優しく笑う先生が、妙に優しく見えた。
優しく笑っているんだから、そりゃ優しく見えるんじゃないのか?と思うかもしれない。
けどこの先生は、色々なことがいつも曖昧だから、本当の優しさがいつも見えない。
不思議すぎて理解不能なのだ。
「人間に見立てて表現する方法のこと。」
「…え?」
「馬鹿。俺は二回も同じことを言わねぇ」
言葉は悪いけれど、くすりと笑う彼。
さっきも言ったが妙に、変に優しい。
けど、その変な人にときめいてしまった私は、もっと妙で変なのかもしれない。
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