プロローグ

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「先生、これって10点満点?」 「100点満点な。」 「でも、こんな点、初めて見たよ?」 「まぁ、俺は0点見たことあるけどな。」 「…私もある」 只今、私、神流奈津(カンナナツ)は 担任教師の九十九秋仁(ツクモアキト)に呼び出され、 テストの点で怒られている。 私はうーん、と考えてから先生にきいた。 「何で4点?」 「知るか。」 即答で冷たい言葉が返ってきた。 1ケタ単位の点数を、私は久しぶりにみた。 「どうやったらこんな点になるんだよ。」 「えっと、頑張ったら…」 「なら頑張るな。」 …この先生、即答が好きみたいだ。 イケメンなのにもったいない。 『白衣にメガネ』 ときたら普通、 『白衣の天使』 を連想する。優しい笑顔とふわふわしたオーラがつきものだ。 だがこの国語教師は、白衣の天使とは程遠い、どす黒いオーラと目つき。 そして、若干の色気。 まあ、どす黒い目つきとはあまり聞かないが、なんとなく想像はつくだろう。 ところがどっこい、このどす黒い二点セット、普通の授業の時には見せないのだ。 先生はイスから立ち上がり、そっと私に向かって言った。 「仕方ねぇ、今から個人授業だ」 この楽しそうで不敵な笑みも、授業じゃなかなか見ることはない。
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