エルフ「たすけて…誰か…」

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  親分「チッ…! さっさと気絶しや、が……」ガクン   エルフ「!? な、なに!?」   ?「…私が間違っていたよ、人間。掟なんかよりも、確かに仲間の方が大事だ。ましてやそれが……」   エルフ男(父)「自分の娘のことならば!」   エルフ「お父さん!」   エルフ父「ごめんよ、エルフ……今はとにかく、人間の体が心配だ。急いで運ぶよ」         「っ! …あいたた……えっと、ここは?」   エルフ父「おっと、ようやく目を覚ましたか」   「あの、ここはどこですか? 私の家ではないのは確かなようですが…」   エルフ父「ここは私たちの里。そして私の家です」   エルフ父「娘を助けてくれて、ありがとう。感謝する」   「はぇ? 娘? え、じゃあ貴方、エルフの父親ですか?」   エルフ父「そうだ。あの時の私は、どうにかしていたよ…自分の娘を見捨てるだなんて……」         「そうだ…あの子は? エルフは、どうしました?」   エルフ父「娘なら、水を汲みに行ってるよ……なぁ、人間」   「あ、はい。何ですか?」   エルフ父「随分とお前は、娘に懐かれているようだが……どうなんだ?」   「どう……とは?」   エルフ父「……娘は、お前と一緒にいたいと。ずっと一緒に、暮らしたいと……言っている」ズーン   (うわぁ、すごい落ち込んでるよ…)         エルフ父「それでも…」   「?」   エルフ父「それでもお前は、記憶を消してくれと頼むのか? あんなに楽しそうに、嬉しそうに話す娘から、記憶を消してくれと…」   「……ずるいなぁ、もう。  そこまで言われたら……そうですね」   「記憶は消さないにしても、私はあの子の前から姿を消すことになります」         エルフ「ただいまー……あれ?」   エルフ「お父さん、男は?」   エルフ父「あぁ、エルフが行ってからすぐに起きて帰ったよ」   エルフ「えー、そうなの? つまんないの…」シュン   エルフ父「それと、彼から伝言だ。『当分は会えないから、家に来ても無駄だよ』だそうだ」   エルフ「えっ……それ、どういうこと…?」   エルフ父「さぁ、分からない」   エルフ「……ちょっと行ってくる!」  
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