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ガサッ ザッ ザザッ
エルフ「はっ…! はぁ…!」
エルフ「ここ、抜ければ…! 見え、る…!」
エルフ「……あ、あった! 見えた!」
バンッ!
エルフ「男っ! 男ー!!」
シンッ…
エルフ「…おーい!」
エルフ「ここか!」バンッ!
シーン…
エルフ「こっちか!?」
ガランッ…
エルフ「…ねぇ、出てきてよ! 居るんだろ!」
エルフ「……どこに、いるのさぁ…」グスッ
カチャン キィー
エルフ「? …紙。メモ?」ペラ
『エルフへ。
黙っていなくなったのは素直に謝るよ。ごめんね?
本当は君ともっと楽しい時間を過ごしていたかったけど、もうそんな時間も残ってなかったんだ、実はね。だから、君がこれ以上辛くなる前にいなくなることにしたんだ。
もう少し、この身に猶予があれば良かったんだけどね。
短い間だったけど、君との時間は絶対に忘れないから、君も忘れないでいてほしい。それじゃ、また』
エルフ父「…おかえり」
エルフ「…ん」
エルフ母「あらあら、元気が無いわねぇ」
エルフ「……」ポロ
エルフ母「…原因は、そのお手紙かしら?」
エルフ「ゔん…!」ポロポロ
エルフ母「…見せて?」
エルフ母「…あらあら、へぇ」
エルフ「ひっぐ…えっ…ぅ…」
エルフ母「大丈夫よ、エルフちゃん」ギュッ
エルフ母「必ず、エルフちゃんの好きな人は、迎えに来てくれるわ。よーく、読んでみて?」
エルフ母「最後に『また』って書いてあるでしょ? もう会えなくなるなら『また』なんて言葉、書かないはずよ?」
エルフ「ぐすっ…それじゃぁ…?」
エルフ母「そう。いつになるかは分からないけど、ちゃーんと迎えに来るわ」
エルフ母「だから、その日が来た時のために、素敵な女性になりましょ?」
エルフ「……ん、なる。私、絶対になる」
エルフ母「うん、その意気よ。そしたらまずは、お顔洗ってきなさい?」
エルフ「あっ、うぅ…うん!」
エルフ父(そろそろ戻ってもいいのかな?)
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