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エルフ父「エルフー、水を汲んできてくれないか?」
エルフ「ん、分かったよ」タタッ
エルフ母「…早いわねぇ、時間が経つのって」
エルフ父「…そうだな。あの子も、すっかり大人になってしまった」
エルフ父(あの人間は、今頃どうしているだろうか……)
…………
エルフ父「会えなくなる? それは、どうして…」
「自分で言うのも恥ずかしいんですが、実は王子なんですよね。王位継承権が一番の」
エルフ父「……はぁ!?」
「一年の猶予を貰って城外で暮らしてたんですが……実は、もうすぐ一年経つんですよね」
「城に戻るのは絶対ですので、まぁ会えなくはなりますよね」
エルフ父「そういうことか…」
「『城の外に出て自分がやるべき事を見つけてこい』だなんて、無理だとは思いましたけど、ようやく見つけましたよ」
「僕は、人間とエルフの方々との架け橋を作ります。えぇ、必ず」
エルフ父「…出来るのか? そうそう簡単なことじゃないぞ?」
「やりますよ。そうしなきゃ、あの子を迎えになんて来れませんから」
エルフ父「…ははっ、そうか! 期待しているぞ」
…………
エルフ「あ、兵士さん! こんにちは」
兵士「どうも。水汲み? 気を付けてね」
エルフ「兵士さんも、あまりサボらないようにね?」
兵士「うっ…了解であります」
エルフ「ふふっ、じゃあねー」
エルフ「ちょっと寄り道~……あれ? また人間だ。誰かな?」
エルフ「こんにちはー?」
「…あぁ、こんにちは。綺麗なお嬢さん」
エルフ「えっ!? あ、あの!」アタフタ
「……本当に、君は綺麗になったね。いや、魅力的と言うべきか」
エルフ「え?」
「快活な少女だったのが、今ではすっかり大人になったな……」
エルフ「あの、貴方は…誰?」
「…あの日から7年か。迎えに来るのが遅くなってごめん。今、迎えに来れたよ、エルフ」
エルフ「……もしかして、男? 男…なの?」
「今でも薬草のことは調べているが、分からないこともある。私の傍で、ずっと教えてくれはしないだろうか」
「…君が、既に心に決めた人がいるなら無理強いはし……むぅ!?」
エルフ「ん…っはぁ。大好き、男。だから、一生貴方の傍に居させて…」
「…あぁ、これから一生、よろしく」
…終…
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