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勇者「んじゃ、城内観光したら発つわ。まだまだ行く所が残ってるからな」
旅人(城内観光!!)
鋼王「そうか……また、来るのだぞ?」
勇者「おう。そのうちな」
鋼王「絶対、絶対だぞ?」
勇者「はいはい分かりました。大ー丈夫だって」
旅人 ウズウズ
勇者「さーて、旅人。見て回るか?」
旅人「はいっ!」
勇者「じゃ、まずは何から見るんだ?」
旅人「まずは、城全体の造りを見たいです!」
勇者「おーし。じゃ最初は補修士がいる部屋かな。たしか設計図もあったはずだ」
勇者「──満足したか?」
旅人「はいぃ…しぁーわせですー…」
勇者「……あのはしゃぎっぷりは凄かった。うん。兵士達がぽかんとしてたし」
旅人「耐魔壁のグラデーションの美しさと言ったら…もう…」
勇者「すっかり夜になってるし……今日は宿屋か」
勇者「…朝か。まだ眠いなぁ」
勇者「おーい、寝坊助さん。起きんしゃい」ペシペシ
旅人「んー…今日のお城はー…?」
勇者「飯より城か……今日の予定は水の国だ。支度してー」
旅人「ふあーい…」ネムネム
不定形魔獣が あらわれた!
勇者「…気持ち悪いなぁ」
旅人「まったくです」
勇者「こういうのって、やっぱ生まれるのに失敗したやつなのかね?」
旅人「んー、どうでしょうね……魔王が創ったとか?」
勇者「いや、魔王が創ったやつなら魔王倒した時に消滅してるから、それはないな」
不定形「じゅるじゅる…」ウゾウゾ
勇者・旅人「「気持ち悪ぃぃぃ!!」」ゾワワワワ
勇者「…またつまらぬニフラムをしてしまった」
勇者「……やっぱ、倒したのは失敗だったよなぁ」
旅人「魔王を、ですか?」
勇者「あぁ。倒すんじゃなくて、封印しておくべきだった」
旅人「? 同じことでは?」
勇者「違う違う。『倒す』ってのは単に、『魔王』っていう器を消滅させただけで、魂まで完全には消せてないんだ」
勇者「『封印』ってのは、肉体を消滅させることは出来ないけど、魔王そのものを無力化するから、こっちの方が実はよっぽど良かったり」
旅人「じゃあ、やれば良かったのでは…?」
勇者「ただ、封印なんて万全な状態の俺にも難しいから、倒す方が楽ちんなんだわ」
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