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勇者「ま、終わったことを言ってもしょうがない。今は気ままな旅を楽しむだけだ」
旅人「大変…だったんですね」
勇者「まったくねぇ、ホント…」
旅人「ま、私には関係ありませんし? 早く行きましょう! 城が私を待ってます!」フンス
勇者「…つるのムチ、足を捕らえろ」
旅人「みぎゃんっ!!」ビターン
─水の国─
勇者「ここはあんまり、長居したくない」
旅人「なんでですか? まるで水の中にいるみたいな街並み…虹色に輝く水のアーチ…そしてなにより!」
旅人「耐魔と耐物理に優れるこの城! 加えて、認識をずらす魔法処理!」
旅人「勇者さんがいなきゃ私、この国を素通りしてましたよ」
勇者「お前は分からないだろ…この国の本当の恐ろしさを…」
旅人「本当の、恐ろしさ…?」ゴクリ
?「勇っ者、ちぁ~ん!」
勇者「…奴が、来た!」
旅人「奴って、あの綺麗な人ですか?」
勇者「一応言っておくが、あれは水の国の王で、王は女じゃないからな? 男だからな?」
水王「気配を感じ取ったら、やっぱり勇者ちゃんだったわ~!」
旅人「え? でも、こんなに綺麗なのに…」
水王「もぉ~! 来るなら来るで手紙でもくれればお出迎えしたのにぃ~」クネクネ
勇者「やめろ! 背筋が寒くなる!」
水王「お出迎えした後は~、一緒にご飯食べて~、一緒にお風呂入って~、一緒のベッドで……きゃっ」ポッ
勇者「やめんか水王!」ゾワッ
旅人(なるほどなー、そういうことでありますか)
水王「ねねっ、ここにはどれくらい滞在予定? 一生?」
勇者「ばーかばーか! 一日だよ!」
勇者「…はぁ、察してくれよ」
水王「分かってますよーう。ほんのお茶目でしょ?」
旅人「ほぇ? どういうこと?」
勇者「旅人、宿で待っててくれ。夜には戻る」
旅人「……はっ! まさか、そういうコト…?」
水王「うふっ、そうなのy 勇者「断じて違うからな。じゃ、二部屋取っておけよ」スタスタ
水王「むー、いけずぅ!」トトトッ
旅人「…なんだろ?」
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