勇者「魔王倒したけど…」

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  勇者「そんで、これがその勇者様か」   勇者様「なんだァ? 何か用か?」   旅人(ただのチンピラです)   勇者「あんた、勇者なんだってな? 魔王討伐には行かないの?」   勇者様「今はな。この村を拠点にレベルを上げたら、行くさ」   勇者「ふぅん? そうかそうか」         勇者「ところで勇者様? この村を出て少しの森に、大型魔獣がいたんすよ。災いの芽は摘んだほうがいいんじゃ?」   旅人(あれ? いたっけ?)   老人「それは本当ですか!? 勇者様、お願いします!」   勇者様「え!? あ、いや…今は…」   勇者「んー? どうしてすぐに動かないんですかー?    大丈夫ですよねー勇者様ー? 殺されても死なないですもんねー?」   勇者「まさかー、偽者なんですかー?」ニヤリ         勇者様「俺が偽者だと!!」ガタッ   勇者「まぁまぁ、そう熱くならないで。ね? 早く倒して下さいよ」   老人「勇者様…」   勇者様「あぁ、行ってくる。『いつもの』用意しておけよ」   老人「分かりました」   旅人「…いつもの?」   老人「勇者様には、こうして危機を救っていただく代わりに、謝礼金を…」   勇者「ふーん…なるほどね」   勇者「ちょっと、許せないかなぁ…」         勇者様「クソッ…! 何だよあの男は!」ザッ ザッ   勇者様「あ゙ーもう! …適当にその辺の魔物の首でも持ってけばいいだろ」    ズ…ン ドズ…ン   勇者様「あ?」    ズン…  ズン…!   大型魔獣「…GRRR」   勇者様「…お、おいおいオイ……う、嘘、だろ!?」   大型魔獣「GRRRRAAAAAアァァァァ!!」         勇者様「…ひっ、ひいぃ!!」    大型魔獣は おおきく息を吸い込んだ  勇者様は 逃げ出した!  しかし! 逃げられない!   大型魔獣「GAAAAAアアアァァァ!!」    恐るべし熱量の炎が辺りを焼き尽くす!   勇者様「──あ」   大型魔獣「なーんてね。マヌーサだったのさ!」         勇者「よう、イイ夢見れたかよ?」   勇者様「あ、あ? ま、魔獣は?」   勇者「幻だって言ってんだろマヌケ。大体な、そういうマジで危険な魔物は全部消えたよ」   勇者様「あ、おま、お前は!」   勇者「本当の勇者でもないくせに勇者と偽って、随分とあの村から搾取したみたいだな? 死ぬか?」  
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