勇者「魔王倒したけど…」

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  勇者「で、何か用? 俺、婚前旅行してるんだけど」   旅人「……はあぁぁぁ!?」カッー   勇者「冗談だよ。ほら、早く用件言ってよ。次元の狭間に送るよ?」   旅人「……んにゃろう」ザワ…   騎馬隊<我々は初の国の者だ! 貴殿に頼みがあってここまで駆けてきた!   勇者「初の国…? へぇ、大変でしょ、国。国全体で病気に掛かってるんだってね」クス         勇者「どうせアレでしょ? 王様か勇者辺りが俺のこと連れてこいとか、そういうんでしょ?」   騎馬隊<正しくその通りだ! 来てくれないだろうか!   勇者「とりあえず穴から出てきてね。面白いけど」   勇者「あ、返事だけどね、ノーだから。お断りします」   騎馬隊「な、何故!? 一国の危機にも繋がるかもしれない大変な事態なんですよ!?」   勇者「知らないってんでしょ、しつけぇな」         勇者「一国の危機ぃ? はんっ、どうせ他国に今攻められたらマズいから~とか、そういう理由でしょ? うぜぇ」   勇者「俺はもう初の国の住民票は廃棄して、今は魔の国の住民だから。なので、初の国が滅ぼうが関係ありませんサヨウナラー」    チャキ チャキッ   騎馬隊「…無理やりにでも、連れていきます」   勇者「刃を向けたね? 覚悟は、いいんだね?」   勇者「魔王を倒した力、その身を以て味わうといいよ…」         勇者「──ふぅ。焼け野原になっちゃった」スッキリ   旅人「好機っ!」スパァン!   勇者「痛い! なん……だと!?」   旅人「力を放出した後ならば、ツッコミを兼ねた腹いせも出来るかと思ったら成功しました」   旅人「ていうかどうするんですか? 骨も残ってないですよ…」   勇者「んー、仕方ない。初の国を冷やかすとしよう」   旅人「あ、なんだかんだ行くんですね」         勇者「で、帰ってきたわけだけど……まぁ空気の淀み具合が最悪だね」ヘラヘラ   旅人「笑い事じゃないような…」   勇者「おーい、開門開門ー! 呼ばれて戻ってきたよー!」   兵士「ごほっ、ごほっ…! 誰だ…お前は…げほっ」   勇者「失礼な! 私はこの国の病を治しに来た医者である!    あ、こっちは助手ね」   旅人「助手ですか…」   勇者「ほらほら、さっさと王様に会わせんしゃい!」  
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