エルフ「たすけて…誰か…」

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  「仲間の……小さな子の身よりも、命よりも、掟の方が大事なんですか?」   エルフ男「…我々一族は、自衛のために何かしら力を持っている」   「だから大丈夫だ、と? では、あの子の力を知っているのですか?」   エルフ男「いや…」   「そもそも、あの子に力は宿っているのですか?」   エルフ男「……」   「……では、私は行きます」         「…うぅ、暗い。ていうか、微妙に寒い」   「どこにいるんだろ…」    ─か……て…! …れか…!   「声! もっと奥からだ…」   「何も出てきませんように……」         親分「うるせぇな……やっぱり口塞いどけ」   下っ端「ういっす」   エルフ「ふもぐっ!!」モガモガ   親分「客に売った時に、今みたいに噛みつくようじゃ困るんだよ。だから、人間様に刃向かわないように、『しつけ』をしないと、なぁ?」キュッ   エルフ「んっ!? んん!!」ビクッ   下っ端「へぇ、こんな体でも感じるものは感じるんすねぇ」   親分「そりゃおめぇ、エルフだって一応メスだ。女なんだよ。そりゃ感じるのは感じるだろうよ」ギュッ   エルフ「ぐっ、うぅぅぅ!!」ビクッ ビクンッ         エルフ「ふっ…、ふっ…」   下っ端「あれ? なんスか親分、その太い紐と変な棒?」   親分「んぁ? あぁ、東の国のモンから貰った。んで、あー……きっこうしばり? てのを教えられた」   下っ端「なんスかそれ?」   親分「さぁなぁ。とりあえず、コレで試してみるかぁ」         親分「ははぁ、こりゃあイイや」   下っ端「へぇー、よくできてますね」   親分「胸は強調されるし、ちょいと引っ張りゃあ」グイッ   エルフ「んっ! ふっ、ぐ……うぅ!」ガクガク   下っ端「使えますね、これ」   親分「そんで、この棒よぉ、片面はザラッとしてるだろ? これで胸をちょいと撫でりゃ…」   エルフ「ひっ!? あ…んんっ!」ゾクッ ゾクゾクッ         「…どうしましょう、迷いましたよね、これ」   『…人間、聞こえてるか! 人間!』   「だ、誰だ!? えっ!?」   『テレパシーという力を使える仲間を連れてきたんだ。いいか、今から伝える通りに動くんだ』   「場所、分かるんですか?」   『エルフ同士なら、大まかな気配は分かるんだ。すまん、やはり私たちは…』   「いえ、今はとにかく場所を教えて下さい」   『あ、あぁ。そこを真っ直ぐ進んで──』  
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