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カイムは今、茫然と城の前に立っていた。ルシファーに連れて来られたのだが、そのルシファーはもういない。着いた途端に
「謁見の間まで来い」
とだけ言い残し、早々に姿を消してしまったのだ。そんな訳でどうしたら良いのか分からないカイムは暗い森の中で茫然と立ちすくすしかないのだった。
しばらくすると門の向こうからコツコツという足音が聞こえてきた。そしてギィィ、と鈍い音を鳴らしながら重い門がゆっくりと開いていく。
「お前がカイム=ノーランドか!?」
甲高い声を上げながら近づいてきたのは鋭くとんがった鼻と小さな羽根、体長と同じくらいの長さの槍を持つ、紫色の悪魔だった。60センチ程の。
突然の事に言葉を失ったカイムに小さな悪魔は続けて言う。
「ここは地獄だぞ!リトルファミリアの俺がいても何も可笑しく無いだろ!それより質問に答えろよな!」
「そうだな、すまない。俺がカイム=ノーランドだよ」
簡単に答えるとリトルファミリアは大きく頷いた。
「わかった、じゃあついて来い!」
小さな体を揺らして、リトルファミリアは城の中に入って行く。カイムは少し考えてから、ちょっと待て、と呼び止めた。
なんだ?と振り向いたのを見てカイムは続ける。
「ここは地獄なのか?」
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