私に足りなかったもの

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あら先生、お久しぶりです。 わざわざこんな遠いところまで来てくださって、本当に嬉しいわ。 あれから1年かしら。 先生がお子さんを妊娠なさって、お医者様のお仕事をお休みされたときは私、本当に悲しかったのよ。 でも無事に出産を終えられて、またこうして私の家まで通ってくださるんですよね。 先生がいない間、悲しかったけど、寂しくはなかったの。 ほら、先生も知っている通り、私って想像することが大好きだったじゃない? よく想像の中で芸能人とお話をしたり、歌手の人とカラオケしたり。 現実的であるけれど、私には決して叶うことのない想像ばかりよ。 そんなある日、いつもみたいに家の目の前の湖へお散歩に行ったら、なんとそこにリツがいたの。 リツっていうのはね、私の想像の中の人物なんだけど、目鼻立ちが整っていて、背が高く、おまけにとっても優しいの! あまりにも想像とそのままだったから、私びっくりしちゃって。 思い切って声をかけてみたの。
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