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「そーいえば、そんなこと言ってたねぇ」
ペロペロキャンディーを舐めながら、カリスマモードをオフにしたレミリアは気のない返事をする。
「だから、今こそ協力してくれよ。二日連続迷うなんてどう考えてもおかしいだろ?」
「まあ、手を貸すだけなら簡単なのだけれど……」
と、語尾を濁すレミリア。
「なんていうか、私の力がうまく作用してないようなのよね」
「? どういうことだよ?」
「私は『運命を操る程度の能力』が使える、結構チートでラスボスっぽい超絶ロリ美少女なのだけれど」
「いらないジョーク混ぜ込ませたせいで全体の信憑性が驚くくらい下がったよ」
「ジョークじゃないわ。私は本当に超絶スーパーロリ美少女だもの」
「拘るな。次言ったらその肩書きの最後に『Z』ってつけてみんなに言いふらすからな」
「超絶スーパーロリ美少女Z!?」
さすがにレミリアでもこれには怖じけついたようだった。
表ではカリスマキャラで通っているので、そのようなイロモノ的な噂を流されるのは致命的なのだろう。
「か、かっこいいっ!」
「そうかここは幻想郷だった!」
みんな幻想郷の住人らしからぬ発言をするから、ついこちらの価値観で攻めたのがそもそもの失敗だった。
ていうか、都合よく幻想郷の住人っぽくなるな。
「で、話戻すわよ」
何事もなかったかのように、本題に軌道修正するレミリア。
なんか、激しい敗北感が……。
「その、私の能力が最近、思うように発動しないのよ。最初あなたに協力すると言ったのは、運命操作によって行く先の災難を軽減するつもりでだったのに、現にあなたは失敗続き。そこから言えるのは、第三者からの能力阻害、介入が起きている、というのが妥当案なんだけど」
「協力してくれてたなら、僕としてはあまり文句を言えないけれど、もしかして、単に調子が悪いだけじゃないのか?」
「それはないわ。能力は生命活動にも等しい。運命操作はそれこそ、呼吸をするのと等しく行われている」
「……だったら、もしかして」
そこから、考えられることを、口にしてみた。
「僕が博麗神社に行くのをよくないと思っている奴がいる……とか?」
「そうね」
意外にも、すんなりとレミリアは首肯した。
「まあ、実際他者の能力をジャックするなんて普通は不可能なのだけれど、この場合、この局面からすれば、その考えは辻褄が合うわ」
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