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辻褄が合う、か。
しかし、そんな身に覚えのない辻褄があったところで、なんら真に迫る感じはない。
どころか、答えから無理やり突き放されたくらいの気分になる。
それも、何一つ証拠がないからなのだが。
「だから、この件についてはお手上げ。あなたの話を聞くにしても、どんな優秀なガイドをつけたってまた迷うだろうし」
「そうか……」
昨日だって、メディスンに案内してもらったにもかかわらず迷ったのだ。
問題は僕の土地勘ではない。
そういう、呪いじみた要因が存在するのだろう。
「じゃあ、どうしろっていうんだよ。お前の能力が無効にされるなら、どうしようもないんじゃないか?」
「そうねぇ……」
「そうねぇって」
「よし、待遇を厚くしましょう」
「いや、それが問題で僕はここに来たんだよ」
「?」
まったく。
自分が問題の中心だというのに、なに不思議そうな顔をしてるんだ。
「小悪魔さんだよ」
「小悪魔がどうしたの?」
「だから、僕が泊まってる部屋、元々小悪魔さんの部屋だって聞いたんだ。なんか居づらいんだよ、これじゃ」
「ああ、それは、小悪魔秘蔵の写真が隠されてるからでしょう?」
「秘蔵の写真……?」
「そう。シークレット・スカーレット」
「……なんだよそれ」
「売ってるのよ、隠れて私とフランの写真をね」
「……そうなのか?」
「ええ。あの子、やることはちゃっかりやってるからね。ドジっ子っぽいところもとんだ化けの皮よ」
「へぇ……」
小悪魔さんに対するイメージが崩壊した。
人間、影ではなにやってるかわからないもんだなー。
人間じゃないけど。
「でも、何でお前が知ってるのにまだこそこそしてるんだよ」
「あっちは気づいてないのよ。私は咲夜を亀甲に縛り上げて、その情報をゲットしたんだけどね」
「…………」
咲夜さんのイメージも崩壊。
あの人、間違ってもそんなことされるキャラじゃないと思ってた……。
「ひいひい言って喜んでたわ」
「マジで!?」
しかもMかよ!
両極端な属性掛け持ちだ!
イメージどころか、普通にキャラ崩壊だった。
いや、僕が知らないだけで咲夜さんは本当はそんなキャラなのかもしれない。
ツンMというか。
Sデレというか。
もういっそSMでいいかもしれない。
十六夜咲夜。
SM。
「そうそう、夏休みあたりからデレが分かりやすくなったのよね」
「なんでピンポイントで僕の彼女と同じ設定なんだよ! ていうか夏休みとかねえだろ!」
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