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戦場ヶ原ひたぎ。
現在、羽川による人格矯正プログラムを受けていて、途中ではあるものの、以前とは比べるべくもないほど、キャラ崩壊と言ってもいいほどの変貌を遂げつつある僕の彼女。
……やばい、ホームシックになりかかった。
「え? 彼女とかいんの? あなたみたいなのに?」
「当然のようにバカにすんな! いるよ!」
「妄想?」
「リアルだ!」
「へー、そー」
「興味なしかよ!」
「うんっ!」
「ぶっ飛ばしてえ!」
満面の笑顔で頷くな!
無駄にいい返事をするな!
「言っとくけれど、僕はお前が思っている以上にリア充ってやつだぜ?」
「りあじゅう……? あの黄色い電気ネズミのこと?」
「それはピカチュウだ! なんで知ってんだよ!」
「私が小さかったとき飼ってたのよ」
「一番あり得ない嘘だ!」
「うるさいわね。折り畳むわよ」
「なんか痛そうだ!」
まあ、実際、こんなところで馬鹿している場合じゃないのだけれど、本能的にやってしまうのだ。
「リア充っつーのは、リアルが充実してるってことだよ」
「え、でも、幻想郷にいる時点でリアルとか……」
「揚げ足とんなよ。いいんだよ。あってんだよこれで」
「あ、そう……」
なんだか腑に落ちないような表情での返事だったが、相手にしない。
この話をそこまで広げるつもりはない。
「……で、どうすればいいって言うんだよ。忍とのパスも最近曖昧になってるみたいだし、このままじゃ本当に消えちまうんだよ」
レミリアは首をかしげた。
「忍ってのは、あなたに服従する吸血鬼だったわね……。あなた、まだ、そいつを迎えにいこうとしてるの?」
「当たり前だ。もとより僕はそのつもりで博麗神社を目指してるんだからな」
「会えたら、そのあとどうするつもりよ? 別に、吸血鬼が幻想郷を抜け出す力を持ってるわけじゃないのに」
「損得勘定が間に入るような関係じゃねえんだよ。それに、僕には忍が必要だ。どんなときでも、どんな形でも、僕は本来、あいつの傍にいなくちゃいけない。どれだけ恨まれてたって、僕はあいつに尽くす義務がある。だから、忍になら、殺されたってかまわない」
「…………」
レミリアは、未だ理解出来ないような顔だったが、からかうような返事はしなかった。
「まあ、あなたがそう思うなら、勝手にすればいい。私の協力の範疇にその忍とかいう吸血鬼はないんだから、その点に関するあなたの考えについては、意見しないわ」
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