こよみゴッデス──002

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「お姉さま?」 レミリアに気づいたフランドールが不思議そうな声を出す。 「フラン……」 レミリアはフランドールに片手を差し出した。 「…………お手」 「はい」 ぽん、とフランドールの軽く握られた手がレミリアの手のひらにのせられた。 「…………」 え? 何が起こってんの? なんの儀式? それ。 「むむぅ……」 呆気にとられる僕を背に、レミリアはひとり難しそうに唸る。 そしてバッと振り替えって僕を見た。 「私の妹にどんな調教したのよあなた!?」 「知らねえーっ!」 弁解の仕様のない罪を着せられた! 調教って! した覚えないのに! 「だって、昔だったら私の手、今頃跡形もなく消えていたはずだったのよ!? おかしいわ……私の妹がこんなにいい子なわけがない!」 「おいおい、お前自分の妹をそんな風に言うなよ。フランは結構純粋なんだぜ」 「純粋、という単語にも使いどころと言うものがあるわ。フランの場合、純粋に悪い子だったわ」 「フラン、悪い子……?」 言われて、急に瞳を潤ませるフランドール。 「ちがっ! 違う! 違うから泣くな、フラン! 悪いのはこいつだ!」 慌ててレミリアを指差してフォローに入る。 「私が悪い子!? ペロペロキャンディなめてる幼女に悪い子はいないわよ!」 「何論だよ! 適当言うな!」 「チュッパチャップスなめてるやつは大体悪役よ!」 「知るか! しかもその統計も信用できねえ!」 「だって私が決めたんだもん!」 「お前時々めちゃくちゃガキっぽいな!」 「幼女と言え!」 「お前の拘りなど知らん!」 自分の未発育ぶりを幼女と言うことで誤魔化そうとしているのは見え見えだ。 幼女を乱用するな。 「それにしても」 と、口調を落ち着け、フランドールに目をやりながら、レミリアは言った。 「すごく変わったわ。フラン。これなら、あなたの部屋、二階にしてあげてもいいかもね。もちろん、拘束具なしで」 「本当か?」 食いついたのは、フランドールではなく僕だった。 「よかったじゃないかフラン。やっと自由になれたな!」 フランの肩を掴み、嬉々として言う僕。 しかし、対してフランの表情は暗鬱だった。 「どうした?」 「ううん、少し、心配になって」 「心配?」 「うん……。フランが自由になって、また、誰かを傷つけるかもって思って」 「…………」
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