俺がてゐっ!?

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「包み込む風に癒やされ、至高の祝福があらんことを エア・フォロー・キュア!」 ナノカがそう言い終えると龍慈の体に緑色の線が幾重にも絡みついた。 エア・フォロー・キュアは風属性の進化派生である「大気」属性と、無属性の中で比較的習得が難しい「回復」との、上級の混合魔法だった。 混合魔法とは、属性を二種類以上掛け合わせて使用する魔法のことであり、無属性と他属性の混合魔法は珍しくない。 「やりすぎですよ、マスター!」 「すまんな、意外と魔武器っぽいのを出し始めた時から動きがよくなってな。ついつい身体強化を本気でかけてやってしまった…」 「そうですか。ですが…駄目でしょ。やりすぎはやりすぎですよ!」 「うっ…すまん…」 渋めのおっさんがきれいめなお姉さんに怒られている図はとてもシュールだった。 「龍慈は大丈夫なのですか?」 魔法がかかるまで龍慈の体を揺さぶっていたミキを慰めるようにナノカが口を開く。 「そうね…命に別状はなさそうだけど、回復には少し時間はかかりそうよ。」 その言葉に黙っていたレイヤが口を開いた。 「なら私の家へ運んでくれないか?龍慈は私を助けてくれた恩人でもあるからな。」 「それはいいかもな。」 ヴァンがそう言うと、皆に「お前が言える立場じゃないだろう?」的な視線が注がれた。 「まぁ、ともかく私はレイヤの意見に賛成よ?龍慈君は行くところがないんでしょ?」 「私もなのです…」 「なら、二人とも来ればいいさ。喜んで歓迎するよ。」 「嬉しいのですよ!」 こうして龍慈の知らぬ間に事が進んでいったのである。 ーーーーーー 「あいつ、動き方はなっちゃいないけど…俺に仮にも一太刀入れるなんて…面白かった。ずっと空白の“帝”の席に入れてみたいな…よしそうと決まれば帝会議を開くとするか!」 ギルドマスター室に帰ってから、ヴァンは一人で呟き、ギルドマスター室を出て行った。 こちらも龍慈の知らぬ間に事が進んでいるようであった。 .
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