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娘も小学6年生になり、ようやくサンタの存在にも疑問を持ち始めてきたようだ。てゆーか遅い…。
それとも、わざと騙されてるふりを…?
だけど、これだけは
はっきり言っておく。
僕は
どんなに怪しまれても…
そして
どんなに疑われても…
永遠に君を騙し続ける
つもりだ…。
妻も亡くなり、サンタクロースを演じるのも僕一人となってしまった。
そんな、去年のクリスマスイヴだった…。
「友達のほとんどがDS持ってるんだって。
私はゲームしない人だから、別に欲しいとは思わないけどね…」
娘が何気なく口にした
そんないじらしいセリフが僕の心をくすぐった。
『ニンテンドウDSライト』
クリスマス商戦の真っ只中、僕はやっとの思いでそれを手に入れた。
ただ、輸出向けの商品だった為、取り扱い説明書がすべて英語で書いてある。しかし、これが逆に僕としては都合がよかった。サンタクロースは間違いなく外人さんだ。
娘への説得力が増す事は間違いない。
そして、
クリスマスイヴ当日。
僕は、百均でラッピングに使うクリスマスっぽい包装紙とクリスマスカードを買い、すべての準備を整えた。後の事を同居する母親に託し、僕はいつも通り仕事へと向かった。
翌日の夕方、学校から帰ったばかりの娘が、慌てて僕を揺り起こす。
「クリスマスプレゼントのゲームについてた保証書に、ドン・キホーテの
ハンコが大きく押してあったよ!それに、クリスマスカードに書いてあったメッセージ…。メリークリスマスがモリークリスマスになってた!サンタさんはパパで間違いないよね!?」
娘は半笑いだった…。
ばれたか…。
いや、冷静になれ。
「なんの事だか、
パパにはさっぱりわかりません…」
娘は少し考え込んだ後、
突然、僕に背を向け
窓から見える空に向かってこう言った。
「サンタさん、ありがとう…。大好きだよ!」
わざと僕に聞こえるように言った娘が、すぐに振り返り、ニコッと僕に向かって微笑んだ。
「………」
君に、これだけは
はっきり言っておく。
パパは、
どんなに怪しまれても…
そして、
どんなに疑われても…
永遠に君を
騙し続けるつもりだ…。
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