始 <ハジマリ>

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麗らかな朝日と共に雀が呑気に歌う。 柔らかな日の光が大きな窓から部屋に差し込む。 突然、アパートの一室から、爆音に近い目覚まし時計が踊るように鳴り始めた。 外で歌っていた雀の楽団も驚いたのか、一斉に空へと羽ばたき、黒い電線がゆらゆらと余韻を残して揺れている。 部屋の住人といえば、目覚まし時計の効果が全くなく、ベッドの布団がもぞもぞと動くだけであった。 白い布団が気持ちよさそうに朝日を吸っている。 何回目だろうか。 近所から苦情がくるのではないか、というくらい鳴り響いたあと、やっと布団から手が出てきた。 どうやら枕元の目覚まし時計を探しているようだ。 ふらふらと左手を伸ばし、鉄の爆音機を探す。 と、そのときに小指が目覚まし時計に当たり、鉛色の時計は床へと落下した。 その時の衝撃で運良く音が消え、からからと螺の転がる虚しい音が響く。 遂に衝撃に耐えきれなくなったようだ。 目覚まし時計が先に愛想を尽かしてしまい、壊れてしまった。毎朝の苦行の辛さが伺い知ることが出来る。 手も力尽きたように動かなくなり、白い布団に沈み込む。 心地よい朝日。 住人はそんな日の光を浴びながら、再び深い眠りについた。   
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