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「司馬懿!………追手は完全に巻けたのか?」
鮮やかな甲冑を身に付け、真紅のマントを纏った、姦雄曹操が、馬を全速力で走らせながら、後ろから追いついて来た司馬懿に気を取り乱しながら話しかけている。
曹操の後ろに馬をピタリとつけながら、司馬懿は重たく口をひらく。
「敵の追手はなんとか食い止める事が出来ました。しかし、しんがりを勤めた、夏侯淵、曹洪の両将軍は討ち死、並びにその部隊も壊滅との知らせが入りました………」
「そうか……………」
とただ一言、言葉を返しただけである。
その後は口を一切開かぬまま、千人弱の兵とともに、長安に向け、ひたすら逃げ帰っていた。
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