突然。

2/5
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
久子さんは言った。 『ミキ、あんたに家庭教師つける事にしたからね!』 …ん? テーブルにつっぷして、半分寝かけてた俺の頭の中は、一瞬真っ白になる。 何?家庭教師? カテイキョーシ? がばりと起き上がり キッチンで立ちながらタバコをくゆらす久子さんを見た。 相変わらず小綺麗な格好。 長い髪を高い位置でお団子にして、パステルカラーのボーダーのカーディガンを羽織っている。 年齢40すぎとは思えないくらい、肌が白く若い。苦労した割には、全然老けてない自慢の母親だ。本人には言えないけど。 『あんた、成績悪すぎだから、家庭教師雇ったの。』 んな、急に言われても…。 なんで一言相談とか…。 『相談すると、嫌って絶対言うだろうからさ、あたしの独断で決めた。』 見透かされる様に、あっさりと言われてしまった。 『…それ…いつから?』 もう諦めて聞いてみる。久子さんは笑いながら、 『今日からよ。本日19時より、戦闘開始。ふふっ。』 ふふっ。じゃねーよ。 なんだよ、今日からって! 俺にも心の準備というものがだな…。 『家庭教師してくれるのは、カズだからね。』 聞き覚えのある名前…。 ちょっと待て! カズって…あのカズ? 久子さんはタバコの火を消しながら、ニヤリと笑う。 『まだ覚えてるでしょ?』
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!