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久子さんは言った。
『ミキ、あんたに家庭教師つける事にしたからね!』
…ん?
テーブルにつっぷして、半分寝かけてた俺の頭の中は、一瞬真っ白になる。
何?家庭教師?
カテイキョーシ?
がばりと起き上がり
キッチンで立ちながらタバコをくゆらす久子さんを見た。
相変わらず小綺麗な格好。
長い髪を高い位置でお団子にして、パステルカラーのボーダーのカーディガンを羽織っている。
年齢40すぎとは思えないくらい、肌が白く若い。苦労した割には、全然老けてない自慢の母親だ。本人には言えないけど。
『あんた、成績悪すぎだから、家庭教師雇ったの。』
んな、急に言われても…。
なんで一言相談とか…。
『相談すると、嫌って絶対言うだろうからさ、あたしの独断で決めた。』
見透かされる様に、あっさりと言われてしまった。
『…それ…いつから?』
もう諦めて聞いてみる。久子さんは笑いながら、
『今日からよ。本日19時より、戦闘開始。ふふっ。』
ふふっ。じゃねーよ。
なんだよ、今日からって!
俺にも心の準備というものがだな…。
『家庭教師してくれるのは、カズだからね。』
聞き覚えのある名前…。
ちょっと待て!
カズって…あのカズ?
久子さんはタバコの火を消しながら、ニヤリと笑う。
『まだ覚えてるでしょ?』
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