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その場にいた全ての人が愕然とするのも無理はない。
真っ赤なレザーのライダースジャケットには先の尖った鋲がたくさん埋め込まれ、胸元には重たそうなクロム・ハーツのネックレスがジャラリと音をたて、白い肌を滑る。
超がつくほど短いショートパンツからは編みタイツの足がスラリと伸び、クロスに編み込まれた紐のついた、ヒールの高いブーツをカツンと踏み鳴らす音が響いた。
金髪のショートボブのウィッグに真っ赤な口紅をした、あまりにもこの場にふさわしくない出で立ちの若い女性に、教師をはじめ、生徒や保護者たちの目は釘付けだった。
…何で真子姉が!?しかも何だよ、メチャメチャ勝負服じゃん…!!
危うく声を出しそうになった陽介が、心で叫ぶ。
一方、真子は集まる視線を全く気にする事なく、保護者席に腰をかけた。
やがて、後ろを見ていた生徒たちの中から陽介の姿を見つける。
「陽介!!」
静まり返った体育館に、響き渡る高い声。
「!!」
慌てて前を向き、他人のふりをする陽介。
…なんで…?!なんでよりによって真子姉が?!…
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