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式も終り、校庭では在校生たちが部活の勧誘にあちこち走り回っている。
新入生たちは保護者と記念撮影をとったり、先輩たちからの歓迎にもまれたりしていた。
出来れば、もう少し学校の様子を見学していきたかったが、陽介はなるべく目立たないように校門へ急ぐ。
だが予想に反して、一番会いたくない、真子の姿を見つけた時には、もう後悔しても遅かった。
「陽介!!」
大きな声を出し、屈託なく笑う真子。
人目を気にして、陽介は校門の陰に真子を引っ張った。
「ちょ…!!何で真子姉なの!?えり姉が来るんじゃなかったの!?」
声をひそめる陽介。
「な~によ~!アタシじゃ不満なわけ!?」
「いやいや、おかしいでしょ?その格好!入学式なんだよ!?ライブに行くんじゃないんだよ!?」
「入学式だからこそ、かわいい弟の為に目一杯オシャレしてきたんじゃん!!どお?可愛い?」
手を腰にあててクルリと一回りする真子。
はぁぁ…
陽介は深くため息をついた。
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