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サラサラの黒いストレートロング。
パッチリとした二重目蓋に、吸い込まれそうな黒い瞳のその女生徒は、振り向いた陽介に軽く頭を下げた。
「可愛らしいお姉さんね」
薄いピンク色の唇からこぼれたその声は、まるで小鳥のさえずりのように心地よく、瞬間にして陽介の全身をとらえる。
「あ…あの、いや…その…」
しどろもどろになる陽介。
女生徒はにっこりと笑うと、陽介に一歩近づいた。
「ねぇ、君、部活はもう決めてるの?」
「いや…俺はその…」
顔が赤くなるのが分かる。
「じゃあ、よかったらサッカー部に入らない?私、マネージャーやってるんだ!」
…サッカー部…
陽介の心が、とくんと揺れた。
「別にすぐに決めなくても大丈夫だから。時間がある時にでも、見学にきて!…って……ごめんね、私ったら一方的に… 」
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