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「ただいま」
扉がバタンと開いて、買い物袋を下げた長女のえりが帰ってきた。
「おかえり」
明らかに不機嫌そうな陽介が出迎える。
「ああ、陽介。学校どうだった?」
えりは買い物袋を陽介に渡し、靴を脱いだ。
「どうだったじゃないよ!何で真子姉に来させたんだよ。夕べはえり姉が来るって言ってたじゃん!」
膨れっ面で袋を持ち、キッチンへ向かう。
「急にオペが入ってナースが足りなくなっちゃったのよ。真子、休みで寝てたし。…まさか」
えりが後に続いてキッチンに入ると、陽介が振り返った。
「そのまさかだよ!!真子姉、思いっきり勝負服で来たんだよ!?も~俺、顔から火が出るかと思ったよ~…」
袋をテーブルにのせると、中身を取り出し、冷蔵庫にしまう。
「勝負服!?…あの子ったら…美香のピンクのスーツを借りて着ていきなさいって言っておいたのに!」
「ピンクの…って…、美香姉がブランド物の服を貸すわけないじゃん!」
「え?あれブランド物なの?」
はぁ~!
ため息をつく陽介。
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