『始めから出来ないはない』

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始めから出来ないと決めてやらないのは退屈じゃありません? これは私の就職活動の話。 病院の先生や私の身体の様子を知る人は私の就職を止めた。 働く事はストレスとの戦い、さらに悪化する、女性なんだから無理に働かなくても。そう何度も言われてきた。 私には特別夢があった訳ではない。社長になりたいとか仕事の専門家になりたいという願望もなかった。 けれど私は泣いて「働きたいんです」と言った。 働きたかった。 社会の役に立ちたい、自立した社会人でありたい、活々と毎日を生きていたかった。 私はふらふらの身体で就活を始めた。電車に乗るたび貧血を起こして休み休み企業へ迎う。こっそり嘔吐していた。人より何倍も体力がいった。 百年に一度の大不況という事もあり就職活動はなかなか上手くゆかなかった。 けれどそれは皆同じはず。 摂食障害だからという卑下も甘えも一切断ち切って、私はただふらふらでも活動し続けた。歯を食い縛って歩いた。圧迫面接でも笑顔で対応し続けた。 就職活動中、同じ歳の欝の女性と知り合った。彼女は始めから働けないから就職活動が出来ないと言った。彼女は私が摂食障害で毎日嘔吐しながら就職活動を続けている事をしらず、活動出来る人が羨ましいと言った。 やってみたいならやってみたら良いのに、そう思いながら私は彼女の横を過ぎて行った。 病気だからって線を引くのは誰でしょう。 病院の先生?親? 私は自分自身だと思うんです。 私が就職出来たのはただ自分に正直にいたからなんです。 →→→→
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