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病院に行く前、このままでは死ぬな、と流石に分かった。
今まで十分生きてきたから後悔はなかったけど、これから先がきになった。
「頑張れば良い事あるから」
いつも誰かが言った。だから馬鹿なりに頑張ろうとしてきた。
そして何より幸せになりたかった。
私は半年以上生理がなかった。医師が言うには痩せて子宮が萎縮し、子供が産めなくなっているという。
まだ20歳の女性にはキツい一言。死亡率より辛い言葉だった。
摂食障害は合併症を伴う。
子供が産めなくなるのもその一つだ。
幸せを想像した時、子供と手を繋いで公園を散歩しているイメージがあった。
温かい家族のイメージがあった。
別に死んでも悔いない人生だったし、死ぬ理由もないな。
辛いことも楽しいことも沢山あったし、これからもそれは変わらず私に降り注ぐだろう。
私はこれからどんな事を体験し、乗り越えていくのだろう。どんな人に出会い何を感じるのだろう。
急がなくても良いじゃない。
もう一度頑張ってみようかな、と思った。
けれど摂食障害とは本当に苦しい病気である。
健康だけでなく心も蝕まれるし、合併症は意外な所に弊害をもたらす。
体力が落ち好きな事もできなくなる。
周りからの理解は難しく、パートナーを見つけたい方はよけいに辛い。
お金も掛かるし、仕事も制限される。
人によっては自殺行為まで追い込まれたりする。
私は医師に約束した。
卒業までは頑張ります。治療の為に頑張りますから。
死ぬような馬鹿な真似は絶対にしませんし、死にたいとも言いませんから。
その代わり、この病気は本当に辛いから私はこの病気と一生付き合っていく気はありません。だから卒業までに治らなければ、その時は死なせて下さい。
馬鹿たれだった私は病気が辛くて死にたかった。けれど治して幸せに生きたいとも思った。
優しい医師は私の約束を聞いてくれた。
そこから闘病の日々が始まった。
辛いけど、そこまでわるくない日々。
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