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あたしは塀を見上げた。
確かにこのくらいならいけないこともないかも・・・
「まあ、下からちょっと押してもらえば」
「決まりッ!」
真奈はそう言うと、あたしの背中を押した。
「マジすか真奈さん」
「さすがに無謀じゃない?」
紗耶香が呟く。
そうそう、もっと言ってやって。
「大丈夫!」
「そお?」
紗耶香はあまり反対する気はないらしい。
結局あたしは塀を昇らされるハメになる。
「真奈たちはどうするの?」
塀の上に手をかけてあたしはたずねる。
「なんとか考える。サボらず頑張るんだよ」
真奈はそう言うと、行ってしまった。
「あ、ちょっと!」
あたしは片足を塀にかけた格好で振り返った。
その拍子にバランスを崩し、塀から落ちそうになる。
「やべっ」
だがあたしは落ちなかった。
力強い手があたしの背中を支えてくれていたからだ。
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