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歩いている間、あたしは女子の視線が自分に集中していることに気付く。
ヒソヒソと声も聞こえる。
なんだろ、険悪な感じ。
しかし少年はお構いなしで歩いていく。
「さ、次はコレ」
教室に作られた暗幕の中に入った少年が差し出したのは、
「クマ?!」
のかぶりものの頭だった。
可愛いけど、可愛いけどぉ!!
「時間がないんだ。早く」
「ええっ?! でも・・・」
「不法侵入・・・」
少年がぽつりと呟く。
「うちの学校厳しいんだよね。バレたらただじゃ済まないよ」
にやりと笑ったその顔は、天使ではなく小悪魔だった・・・・
「み、見てたの?!」
「クマになったら見なかったことにしてあげる」
小悪魔は再び天使の笑みを浮かべる。
「わかった・・・・クマになってやるぅッ!!」
あたしはクマスーツを装着すると、完璧なクマになった。
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