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どこ行くの?
…おいてかないで。
アリーと一緒に居たい。
おれは、しきりに鳴いて訴えた。
よく頭を撫でてくれた小さな手。金色の髪の、小さな優しい「女の子」。
「ごめんね…新しいお家には、サムを連れていけないの…」
アリーはしゃがみ込んで、おれの頭を優しく撫でる。
…人間の言ってる事なんて、解らないよ。
だから、おれも連れてって…
ゆっくり、水色の靴を履いた小さな足に擦り寄った…
次の瞬間、大きな足がおれの腹を蹴り上げ、おれは宙に浮き、そのまま冷たい雪の上に倒れた。
「パパ…!」
アリーが悲鳴をあげる。
「アリーに近付くな!…お前のせいで、この子は病気になったんだ!」
おれに向けて、女の子の父親が罵声を浴びせる…。
「パパ…サムは悪くないのに!サムを虐めないで…」
アリーは泣きじゃくり、母親に手を引かれ、車に乗り込んだ。
「お前は、猫のふりをした疫病神だ。」
父親は、おれを何度も蹴り、最後にそう吐き捨てると、車へと向かっていった。
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