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アリーがいなくなって、どのくらいだろう?人間の「時間」なんてわからない。
雪はまだ止まないけれど沢山の時間は流れてた。
路地裏にちょろちょろと動くネズミを見つける事は得意になったし、
人間が、運ぶ途中道に落とした、米や小麦目当てにやって来る小鳥を、捕まえる事にも慣れてきた。
ただ、冷たい人間には、慣れない。
少しでも雪を避けようと、誰かの家の外壁にくっつき、丸まり、夜を越す。
寒さに耐え、やっと眠りにつける頃、赤い顔でふらふらと歩く大きな足の「男」に蹴り上げられる。
ほうきを持った、アリーの様な長い髪をした「女」に、キンキンと耳に響く声でなじられ、その場を追われる。
雪が終われば、こんな奴らのいる場所には寄り付かなくても済むのに…。
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