第一章

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うすらぼんやりとしているうちに学区内の県立高校へと進学した私が最初に後悔したのはこの学校がえらい山の上にあることで、春だってのに汗をかきながら延々と続く坂道を登りつつ手軽なハイキング気分を嫌々満喫している最中であった。 これから3年間も毎日こんな山登りを朝からやらにゃならんのかと思うと暗澹たる気分になるのだが、ひょっとしたらギリギリまで寝ていたおかげで自然と早足を強いられてるのかもしれず、ならばあと10分早起きすればいいんじゃないか? と考えたりするのだが、起きる間際の10分の睡眠がどれだけ貴重かを思えば、そんな事は不可能で、つまり結局私は朝の運動を継続しなければいけないんだと確信し暗澹たる気分が倍加した。 ふと前を見ると、私と同じ暗澹たる気分を纏っていそうな男児が一人。 「キョン」 「…ん?」
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