序章 覇屡王国

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星暦1015年、海に浮かぶ美しき楽園覇屡(ハトル)王国の、第20代目国王が――崩御した。 何年も前から患っていた病がここ数年で急速に悪化したためだ。 彼が治めていたこの国は、先導者を失った事によってまとまりがなくなり、あらゆる場所で内乱が起こるようになってしまった。 街中ではささいな揉め事、郊外では、武器を手に取り争う者まで出てきた。 すでに何人かも犠牲になってしまっている。 この混乱を収める為には、新たな支配者、新王が必要とされた。 しかし、昔から国王は王族の者がなると決められている。当時王家の血を引く者は、唯一彼の孫に当たる13歳の少女のみ。 少女の両親はすでに亡く、彼女しか新王になれる者はいなかった。 少女は祖父を失った悲しみと、一人取り残された孤独を胸に秘め、自分に託された役目を果たすべく行動にでるのだった。
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