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「明記されている端に押されている印鑑だけど、衛生局のものに間違いないわ。受けるの」
「不当な依頼なら、断ればいいだけの事だ」
依頼書を封筒に入れ、椅子にかけられたコートを羽織るトオル。メグミも黒いケースを用意する。
「ちょっと行ってくる。留守番をよろしく」
「了解。ヤバい仕事ならキャンセルだからね」
衛生局までは徒歩5分。事務所の窓からも建物を確認することができる。足を運ぶのは初めてだが、見慣れたものだけに目新しさはなかった。
「まさか逃亡中のペット捕獲捜査じゃないだろな。生き物はコリゴリだぜ」
生傷の痛みが痒みに変わる頃、入り口が見えてきた。ドア越しに人影がある。
「お出迎えご苦労様。いつから待っておられるのかな」
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