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険しい表情が、さらに強くなる。
「内容はわかりました。あくまでも犯人の調査であるなら、依頼をお受けいたしましょう」
「そうか。受けてくれるか。なら手続きをしよう。依頼書を出してくれ」 トオルは封筒を局長に渡した。
「では契約成立だ」
依頼書に衛生局の証明印が押された。
「期限は一週間。それまでに報告書を出すように。また、事実と異なる報告がなされた場合は、それなりの覚悟をしてもらう。以上だ」
局長の表情は険しいままだった。
「期待にそえる報告書をお待ちください」
トオルは秘書より、資料を受け取り部屋を後にした。
「局長は、どのようにお考えなのですか。探偵など信用できるとは思えないのですが」
「私は犯人の調査などどうでもいいのだ。今は衛生局の管理区域に、落書きがある事が問題だ。違うか」
秘書を怒鳴りつける局長。
「来月には視察団が来るというのに、わずかなミスでも放置していれば衛生局の存在が危ういのだ。なんとしてもミスを正すのだ」
「わかりました。局長の仰せのままに」
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