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最後になってこんな優しさを見せるんだ。
あたしの腕を掴んでいた手がゆっくりと離れていった。
そして...
あたしは先輩の方を振り向いて強引にキスをした。
これが、最後。
今までの気持ちも、思い出も、全てこれで忘れる。これで…。
あたしは静かに唇を離した。
律先輩は今までに見たことのないくらい穏やかな顔をしていた。
「律先輩。」
「大好きでした。」
律先輩のタバコはすっかり短くなっていて、うっすらと一筋の煙が揺らいでいた。
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