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「ちょっ…愁く…」
「先輩、声大きい」
そう言って愁くんは容赦なく私の身体を指でなぞる。
もうすぐ完全に落ちる夕日の光がわずかに差し込むの図書室。閉館間近のこの時間帯になると、図書室を利用していた生徒は次々と下校していく。
愁くんは私より一つ下の後輩。可愛らしい外見で、みんなの人気者タイプの男の子なのに何故か目立たない図書委員をやっている。
私が愁くんが出会ったのは図書委員がきっかけだった。
最初は私とはタイプの違う愁くんと話すことはなかった。委員会で見かけるくらいで、接点はそれくらいしかなかった。
なのにある日。
「先輩っ!付き合って下さい!」
最初は何かの間違いだと思った。私をからかっているんじゃないかと思った。でも愁くんは満面の笑みで、
「先輩に惚れました!彼氏いないんですよね?じゃあ俺と付き合いましょうっ!」
そこから全ては始まった。
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