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律先輩がどんな顔をしたのかは分からない。
でも、一瞬だけ時間が止まったみたいにシンと静まり返った。
「知らなかったんです。律先輩がどんな人かを。で、本当の先輩は女の敵って呼ばれてました。」
ゆっくり、ゆっくり顔をあげた。律先輩は真剣な目でこちらを見ていた。
動かなかったけど。
「まさか、こんな人だったなんてって思いました。でも…律先輩はあたしの全てだった。だから…。」
あたしはしっかり先輩の目を見た。
「この関係を続けたいんです。純粋な気持ちを…忘れたいんです。」
ゆっくり息を吸ってから続けた。
「愛がなくてもいいです。先輩に抱いてもらえれば、綺麗な気持ちも薄れると思うから…。それが本当の理由です。」
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