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その不快感は私の目が雄弁に物語っていた。
だがブルートはそんな目を気にする事なく、私から視線を離す。
「じゃあ俺は行くぜ。せいぜい精進しろよチビ」
私にそう言い放ち、私達が来た道に消えていくブルート。
私は怒りに身を震わせながらラフに聞く。
「…誰よ…アイツ…」
ラフは申し訳なさそうに答える。
「…ブルート兄さん。俺の兄さんの一人。この家じゃ屈指の武道の達人だよ」
「達人?アイツが?野蛮人の間違いでしょ?」
「…性格に難はあるけど、戦いにおいては頼りになる兄さんだよ。きっと…お前もじきにその良さが分かる日が…」
「分かりたくもないわよ!あんな…バカ…」
ラフはそれ以上、何も言わなかった。
…さっき私は召し使いでもいいって言ったけど…
前言撤回だわ!
あんなバカの下につくなんてまっぴらごめんよ!
絶対に適性有りになってやる!
でも私が一番許せないのは…
私の事をチビって呼んだ事だ!
私はチビじゃない!
ただ単に人より成長が遅いだけなんだ!
絶対に今より高くなれるはずなんだ!
…怒りに身をまかしていた私だが…
さっき自分ではどうしようもできないと言ったくせにと思うもう一人の自分が、心の中でため息をついているのだった…
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